「大雨から一日空けたし、そろそろ大丈夫だろう」 雨の後は釣れるーーーそう思っていたため、その日は釣りに行ったのですーーー
しかし、実際川岸に立ったら、汚水のにおいが充満していて、水面にごみが浮いている。しかも足元を見ると、普段川底にいるはずのハゼが群れで泳いでいる。
濁った水面にごみが浮いている。
大雨のあと、川の中で何が起きているのか?
2026年8月23日。この日は全く釣れず時間が余った(泣)ので、ちょっと調べてみました。 (釣果情報を求めている方には、この先得るものはありません。)
通常時、空気に触れている川の表面から、酸素は水に溶けていきます。 そのため、川の表面と川底を比べると、川底のほうが酸素が少ない状態になっています。 さらに川底にたまった有機物のなかではこれがさらに顕著です。 ほぼ無酸素状態と言っても差し支えありません。ここには、呼吸に酸素を必要としない微生物(嫌気性微生物)が住んでいます。 嫌気性微生物は、有機物の中の硫酸イオンを利用して呼吸(嫌気呼吸)をしています。 この呼吸の結果、ヒトや魚が二酸化炭素を排出するように、この微生物たちは硫化水素を排出します。 たまごがくさったにおいがする、というやつですね。わずかであれば、温泉のにおいと言ってもいいかもしれません。 川底の有機物(ヘドロ)には、この硫化水素がたくさんあるワケです。
ここで大雨が降ると、川の水がかき混ぜられます。すると、川底に堆積した有機物が固まりになって浮き上がってきます。冒頭の画像にあるごみです。(この固まりを、スカムと呼ぶようです。) そして、この川底の有機物が水中に舞い上がると、そこに一緒にあった鉄なども水中に放出されます。これまでその鉄は、酸素がない環境にあったのですが、突然酸素がある環境にさらされます。ここで、この鉄は急激に酸素と反応します。化学反応で一気に酸素を消費するワケです。
さらに、土中にいたその他の微生物も、「待ってました」とばかりに酸素を使い始めます。これらの微生物が、継続的に酸素を消費します。
しかも酸素がふえない
さらに困ったことに、大雨が続くと、水中の酸素が復活しづらいようです。
「かき混ぜられた」と聞くと、むしろ空気が溶け込みそうな気がしますが、実際はそうではないようです。 雨水は淡水なので、海水より軽い。だから河口や感潮域では、軽い淡水が表層に乗って、フタになってしまうそうです。こうなると下の層は上下の混ざり合いから切り離されて、空気に触れられなくなる。(これを塩分成層と呼びます。)
つまり、大雨のあとの水は「かき混ぜられた」のではなく「上下が分断された」状態になります。
汚水のにおいの原因はヘドロだけではないかも
大雨のあとに下水のようなにおいがしているなら、それは「土砂が流れてきた」のではない可能性があります。 水面には、スカムだけでなく、油膜も浮いていましたが、東京都の下水道は、合流式下水道といって、汚水と雨水を同じ管で流しています。大雨などで処理場の容量を超えると、あふれた分が未処理のまま川に直接放流される仕組みになっています。 (東京オリンピックの時に、ちょっと問題になったやつですね。)
この放流の影響も、いくらかはあるかもしれません。
まとめ:ハゼの姿勢を見てから竿を出す
まとめると、化学反応により、速やかに酸素が減る、微生物の呼吸により、継続的に酸素が減る、真水にフタをされて、酸素が溶け込まない、これらの影響により、ハゼは呼吸ができない状態になります。 そもそもヘドロの中の硫化水素は毒性が高いため、この影響も大きいです。 しかもしかも、水中に細かいゴミが多いと、鰓に詰まって呼吸ができなくなる、ということも起き得ます。 (※大雨の後に起きているかはわかりませんが、川で工事を行うと、下流の魚がこの状態になるようです。)
雨の後は魚が釣れるような気がしますが、大雨の後には当てはまりません。
- 群れで中層を泳いでいる — マハゼは本来、なわばりを持つ単独の底生魚です。底にいないで群れているのは、正常時にはまず起きません。底層から追い出された結果と読むのが自然です。
- やたら浅い場所に集まっている — 岸際の浅場は、波と風で酸素が入りやすく、空気までの距離も短い。酸欠時の最後の避難所になります。
- 岩や壁に貼りついて動かない — ハゼの仲間は左右の腹びれがくっついて吸盤になっています。流されずに酸素の消費を最小化している姿勢です。
これらの様子が、水中が普段通りでなく、ハゼがエサに反応できる状況でないことを教えてくれます。
今回の釣行は無駄足になりましたが、勉強にはなりました。 皆様も(特に釣り場から遠い皆様)大雨の後は気をつけましょう。
おわり。
⚠️ 注意点・安全面
- 増水直後の水際には近づかない。 上流で降っていれば、晴れていても水位は上がります。足場が崩れていることもあります。
- 弱って浅場に寄っている魚を大量に持ち帰らない。 簡単に獲れてしまう状況ですが、産卵前の資源に手を出す形になります。各都県の漁業調整規則を必ず確認してください。
- 水に手を入れたら必ず洗う。 下水の放流が疑われる水は、大腸菌をはじめ衛生上のリスクがあります。手洗いできない場所なら、ウェットティッシュを持っていくといいと思います。







⚡計測値は5V / 約0.7A / 4W前後。消費電力は控えめなので、スマホのバッテリーにも大きな影響はないでしょう。






